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2025.05.12
ミドル・シニア世代の先輩社員の約4割が16〜20年卒と21〜24年卒では仕事に対する価値観に違いを感じていることが明らかに

ミドル・シニア社員から見た、新入社員の仕事への意識調査
レバレジーズ株式会社が運営するフリーター・既卒・第二新卒向け就職支援サービス ハタラクティブ( https://hataractive.jp/ )は、ミドル・シニア※1社員を対象に、16〜20年卒と21~24年卒の後輩社員の入社1〜2年目におけるキャリアや仕事に対する意識の違いを比較する調査を実施しました。
記事本文はこちらからもご覧いただけます。
※1:本調査では35歳〜65歳の正社員の方を、ミドル・シニア社員と定義する
<調査サマリー>
1.16~20年卒より21~24年卒社員が優れていると感じる能力1位は「ITスキル・ITリテラシー」
2.16~20卒と21〜24年卒間、「仕事に対する価値観」に違いあり、4割のミドル・シニア社員が回答
3.21~24年卒の「横のキャリア志向」、ミドル・シニア社員の認識は16~20年卒比で約2倍
1.16~20年卒より21~24年卒社員が優れていると感じる能力1位は「ITスキル・ITリテラシー」
16〜20年卒と21〜24年卒の入社1〜2年目時点の「職務遂行能力」を比較したところ、約4割のミドル・シニア社員が「差を感じる(41.7%)」と回答しました。
具体的な職務遂行能力について比較したところ、ミドル・シニア社員は、多くの項目で21〜24年卒よりも16〜20年卒社員の方が職務遂行能力が高いと感じています。
特に「オンラインでのコミュニケーション能力」について16〜20年卒社員の評価が高い結果となりました。学生時代からオンラインツールに多く触れていた21〜24年卒よりも評価が高かったことは、単なるツールの習熟度だけでなく、相手への配慮や正確な情報伝達といった基礎的なコミュニケーション能力の差が影響していると考えられます。21〜24年卒のスキルで、16〜20年卒よりも評価が高いのは、「ITスキル・ITリテラシー」でした。
企業規模ごと※2に見ると、ほとんどの項目で、21〜24年卒よりも16〜20年卒の方が能力が高いと評価しているミドル・シニア社員が多いようです。一方で、中規模企業のミドル・シニア社員は、他の企業規模と比べて、21〜24年卒の能力を高く評価する傾向が強いことがわかります。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、2020年頃から就職活動のオンライン化が進み、学生にとって企業説明会への参加のハードルが下がったと考えられます。内閣府の調査では、2020年以降、就活生の企業説明会やセミナー等への参加割合は、年々増加しています。※3
オンライン化により、学生はより多くの企業情報に効率的にアクセスできるようになり、従来は接点の少なかった企業の説明会にも参加しやすくなったことが、参加率の上昇につながったと考えられます。結果、中規模企業にとっても採用活動の機会が広がり、これまで主に大規模企業を志望していた学生層からも関心を集めやすくなった可能性があります。
※2 本調査における企業規模
大規模企業:従業員数1000人以上、中規模企業:従業員数100〜999人、小規模企業:従業員数10〜99人と定義します
※3 内閣府ホームページ「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査 調査結果 報告書(58貢)」( https://www5.cao.go.jp/keizai1/gakuseichosa/pdf/20241206_honbun_print.pdf )
2.16~20卒と21〜24年卒間、「仕事に対する価値観」に違いあり、4割のミドル・シニア社員が回答
16〜20年卒と21〜24年卒の入社1〜2年目時点での「仕事や働き方への意識」を比較した結果、約4割のミドル・シニア社員が両者に「差を感じる(40.1%)」と回答しました。
仕事や働き方への意識に関する各項目の評価を比較したところ、特に「会社・組織への帰属意識」や「社会人マナーや常識に対する意識」において顕著な差が見られました。これらの項目では、21〜24年卒よりも16〜20年卒の方が高く評価されており、ミドル・シニア社員のうち約20pt多く16〜20年卒を高く評価していることが分かります。
21〜24年卒社員は、「ワークライフバランスへの意識」や「兼業・副業への意識」が高いと感じているようです。働き方に対する価値観が、より個人の志向を重視する方向に変化している可能性が考えられます。
企業規模別で見ると、「当事者意識」や「改善意識」「目標意識」の項目において、中規模企業のミドル・シニア社員は、他の企業規模と比べて21〜24年卒を相対的に高く評価していることがわかります。
3.21~24年卒の「横のキャリア志向」、ミドル・シニア社員の認識は16~20年卒比で約2倍
ミドル・シニア社員に各世代のキャリアの志向性について比較してもらったところ、16〜20年卒は縦のキャリア※4を、21〜24年卒では横のキャリア※5を志望していると捉えている傾向にあるようです。
キャリア選択における意思決定軸の各項目について比較したところ、「昇進・昇給」を重視していると回答したミドル・シニア社員の割合は、21〜24卒に対しては8.2pt、16〜20卒に対しては24.6ptとなりました。これらの結果から、ミドル・シニア社員の認識においては、両者の間に約3倍の差があることがわかります。
21〜24年卒は、「市場価値の向上」や「人間関係の良好さ」「経済的安定」に関して、他の項目よりも重視していると感じている割合が多いようです。
■本調査における言葉の定義
※4 縦のキャリア:一つの企業や組織で昇進・昇格を目指すこと
※5 横のキャリア:様々な企業や職種を経験し、スキルを広げることと定義します。
<まとめ>
今回の調査では、ミドル・シニア社員の約4割が、16〜20年卒と21〜24年卒の新入社員における仕事への意識やキャリア観に違いを感じていることが分かりました。
2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンラインでのコミュニケーションスタイルが主流となったことが、21〜24年卒の能力形成やキャリア意識に一定の変化をもたらしたと考えられます。
21〜24年卒は、ITスキルや情報収集力に優れる一方で、関係構築力やストレス耐性の面で課題があると感じているミドル・シニア社員も多いようです。
企業は、こうした特徴を踏まえ、個々の強みを活かし弱みを補うための研修制度の見直しなど、育成戦略の再構築が求められます。また、21〜24年卒は、16〜20年卒と比べて縦のキャリアにとらわれず、スキルアップや自己実現につながる多様なキャリアパスを志向する傾向があると捉えているミドル・シニア社員も多く見受けられました。
そのため、個々の価値観や世代ごとのキャリア観を尊重し、社内異動や兼業、外部研修への参加を推奨するなど、柔軟なキャリア形成支援策を整備することが重要です。若手社員一人ひとりが最大限の力を発揮できる環境を整えることで、組織全体の活性化と持続的な成長へとつなげていくことが期待されます。
<調査概要>
調査対象:16~20年卒と21~24年卒の後輩社員の入社1~2年目時に一緒に働いたことがある、現在35~65歳の正社員
調査年月:2025年3月21日~3月23日
調査方法:インターネット調査
回答者数:329名
調査主体:レバレジーズ株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社